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訃報:坂内 正夫 元情報・システム研究機構理事/元国立情報学研究所長

令和3年3月9日

坂内 正夫 元情報・システム研究機構理事/元国立情報学研究所長

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構の元理事で、国立情報学研究所の第3代所長を務められた坂内正夫(さかうちまさお)国立情報学研究所名誉教授が、2021年(令和3年)1月22日に逝去されました。享年74歳でした。

坂内先生は、1975年(昭和50年)3月に東京大学大学院工学系研究科電子工学専門課程博士課程を修了し、同年4月、東京大学工学部電気工学科講師に着任後、横浜国立大学工学部情報工学科助教授、東京大学生産技術研究所助教授を経て、1988年(昭和63年)7月、東京大学生産技術研究所教授となり、東京大学総長補佐、東京大学生産技術研究所附属概念情報工学研究センター長を務められ、1998年(平成10年)4月に東京大学生産技術研究所長、東京大学評議員(2000年(平成12年)3月まで)を歴任されました。

その後、2002年(平成14年)7月に国立情報学研究所教授、2004年(平成16年)には副所長に就任され、2005年(平成17年)4月からは情報・システム研究機構理事及び、国立情報学研究所第3代所長として、2013年(平成25年)3月まで当機構及び国立情報学研究所の発展にご尽力をいただきました。

坂内先生は、現在の地図・位置情報ビジネスの礎となる地理情報システムや多次元データ構造の先駆的な研究を30年以上前に展開しており、きわめて高い先見性を示されました。マルチメディア分野では、世界的に黎明期の1990年代に、画像・映像の意味解析・検索等、最先端の研究を展開すると同時に、立ち上げ直後のIEEEマルチメディアシステム技術委員会エグゼクティブコミッティメンバー/1994年創刊のIEEE Multimedia副編集長を務め、国内外の研究コミュニティを先導しました。1998年から2003年には、研究代表者として、学術創成研究(新プログラム)「マルチメデイア情報媒介システムの研究」を実施し、ITSや屋外活動をターゲットとする実世界型媒介システム、ディジタル放送やコンテンツ形成などをターゲットとするストリーム型媒介システム等の研究を実施されました。ITS分野では、自ら先導的な研究を進めるとともに、ITSの普及・国際研究開発連携貢献に努め、ITS Japan 副会長、日本ITS推進会議委員長等を歴任し、1999年IEEE International Conference on ITS(東京)プログラム委員長、ITS世界会議(2013年東京、2014年名古屋)組織副委員長等を務め、当該分野の日本における推進に努めました。2012年度より、研究代表者として文科省「社会システム・サービス最適化のためのサイバーフィジカルIT統合基盤の研究」を開始し、新たな応用展開による情報通信分野の拡大に努めました。他にも数多くの研究分野において、新規性や実用性の高い多くの方式の創案、開発、普及を行い、当該分野の発展に多大な貢献をされました。

ここに先生のこれまでのご功績に対して、深く敬意と感謝の意を表すとともに、謹んでご冥福をお祈りいたします。